【書籍】人間性心理学入門
オススメ度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)
中野明による著作
第三の心理学と呼ばれる人間性心理学について簡潔に纏めた一冊。
【ポイント】
・人間性心理学とは
→人間がもつ潜在的可能性に着目し、その実現に至る過程を研究し手助けする学問的立場
・人間性心理学の代表的人物7名の理論を簡潔に説明
→入り口の入り口と言った感じです。気になる学者を見つけるための書籍かと思います
私は元々マズローの理論や考え方が好きで書籍を読み漁っていたのですが、そもそもの人間性心理学の概要を理解できてないと思い本作を読んでみました。
人間性心理学ができた背景や潮流、今後の課題など色々とコンパクトにわかりやすく纏まっており、非常に有意義な一冊でした🙋🏻♀️
個人的にはジェンドリンのフォーカシングの考え方がしっくりきたので、今後読み進めていきたいと思います。
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【小説】宿敵(遠藤周作)
オススメ度:★★★★★★★★☆☆(8/10)
豊臣秀吉の近習、小西行長と加藤清正の生涯に渡る対立を描いた作品。
【ポイント】
・弱い人間と強い人間との対比
→小西行長は加藤清正や高山右近のような強い人間と弱い自身を比較し苦しみます
・弱い人間の美しさ(庶民的日本人の美しさ)
→己の信仰も守れない弱い人間でも、心の底にある本物の意志には美しさを感じざるを得ない
・朝鮮出兵を物語の中心に据えた珍しい作り
→歴史ではさらっと流される朝鮮出兵について知識を深めることができます
弱い人間が持つ美しさを、強い人間との対比から写し出している作品だと感じました。
小西行長は武士でありながら戦下手、キリシタン大名でありながらも、棄教のおどしに屈する弱い男です。
しかし、弱く立派ではなくとも、面従腹背の姿勢を貫き、自身の意志に従って戦国末期を駆け抜けていきます。
遠藤作品の多くで見られる特徴ですが、弱い人間が苦しみ迷いながら、人生を歩みそして、虚しさ侘しさに辿り着く。この虚しさや侘しさが人生なのだ。美しい人間の姿なのだと気づく。
この構図が、弱く生きづらい日本人の私には非常に響くのです。
一貫した人間像を元に描かれる遠藤周作の作品群。是非手にとって読んでみてください。
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【古典】貞観政要
オススメ度:★★★★★★★★☆☆(8/10)
非常に簡潔で理解しやすく、2〜3時間で読める内容になっています。
【ポイント】
・古今東西あらゆる組織論の元となっている
→近年流行りの自己啓発本なども元を辿れば、本書のエッセンスを現代風に噛み砕いたものだと感じました
・古来から日本でも帝王学の教科書として親しまれてきた。
→なぜ高校教育で漢文を学ぶのかも恥ずかしながらようやく納得できました
・要点は下記5点
①安きに居りて危うきを思う
②率先垂範、わが身を正す
③部下の諫言に耳を傾ける
④自己コントロールに徹する
⑤態度は謙虚、発言は慎重に
→特に特徴的なのが諫言を重要視しているところ
「指導者の条件」「人材の登用」「後継者の育成」など様々なエッセンスがありますが、1番実用的で身近に感じられたのは諫言の重要性でした。
【本文引用】
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「部下の諫言を受け入れない者が、どうして上司に諫言することができようか」
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これは逆の見方をすると、
上司に諫言するには、部下の諫言を受け入れることが必要であるとも読み取れます。
これまで学校や会社で先輩や上司のグチばかり言っている人を見てきましたが、自身は後輩や部下の諫言を受け入れて身を正してきたでしょうか。
最近は政治の不満の声が散見されますが、グチや不満ばかり言っても先輩や上司ましてや政治などが変わるはずはないのです。
自身より下の役割の立場を大切にして初めて組織や社会は変わっていくものだと改めて学ぶことができました。
学生の頃は漢文を学ぶ意味を全く感じなかったのですが、現在の日本の組織の考え方の元になっているので、現代を生きていくためには必要な知識だったんだなと感じました🙋🏻♀️
【小説】王国への道-山田長政-(遠藤周作)
オススメ度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
遠藤周作の小説。
タイのアユタヤ王朝で権力を振るった武将、山田長政を描いた作品。
もう1人の主人公として、日本から初めてエルサレムを訪れたローマの司祭、ペドロ岐部も描かれている。
【ポイント】
・地上の王国と天上王国を作ろうとした2人の対照的な日本人を描いた物語。
→下克上精神とキリスト教の対比
・強い意志と行動力を持ちながらも、志半ばで打ちのめされる主人公達。
→人生は虚しい。虚しいからこそどう生きるのかという問いかけかなと思います。
・遠藤周作の小説にしては物語性が強く。軽いタッチでサクサク読める。
・ペドロ岐部は徒歩インドからローマに辿り着いており、スタミナがすごい。
そういえば読んでないなと思って買ったんですが、持っていて読んでいないだけでした🙄(こんな感じで2冊持っている本が多々あります…)
他の作品と同じく一貫して、日本人とキリスト教の関係をテーマを描いています。
やはり僕にとっては遠藤周作という作家を読み解くことが人生のひとつのテーマだと再認識しました。
【エッセイ】新約聖書を知っていますか(阿刀田高)
オススメ度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)
阿刀田高のエッセイ。
宗教に馴染みの薄い日本人に向けた新約聖書の基礎の基礎を伝える本。
【ポイント】
→ユダヤ教の旧約聖書を元に作られた聖典。旧約聖書と新約聖書はコーラン(イスラム教の聖典)の元になっている
・新約聖書に描かれた出来事の概要を時系列に沿って紹介
・奇蹟や復活を信じれない日本人に向けた文章。読んでいて違和感を感じるところに説明を入れてくれるので非常に納得感がある。
・著者の旅先でのエピソードもあり、観光や芸術と聖書の結びつきも感じれる。
・キリストは例え話が大好き。細かい解釈は信者達に委ね、ひたすら神の存在と信心を貫いた。
・新約聖書の構造は4つに分かれられる
→①福音書
②歴史的記録(使徒言行録
③手紙(使徒たちの檄文)
④文学(黙示録)
海外の芸術に対峙する時に必要な最低限度の新約聖書の知識が得れます。
絵画「最後の晩餐」やミケランジェロの彫刻「ピエタ」なども新約聖書のこのシーンなのだなとこの歳にしてようやく知ることが出来ました。
【印象に残ったフレーズ】
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神がいかなるものかなど人間にはわかることではないし、こざかしい疑問を抱くより、ただひたすらに信じるほうが肝要である。
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欧米の宗教観には根底にこのような考え方があるのだろうなと思いました。
日本人には馴染みにくいですが、理屈は良く分かります。
教養として読んでおいて損はない一冊です🙋🏻♀️
【エッセイ】旧約聖書を知っていますか(阿刀田高)
オススメ度:★★★★★★★★☆☆(8/10)
阿刀田高のエッセイ。
このところ教科書のような書籍ばかり読んでいますが、やはり基礎は大切だと思いました。
【ポイント】
→旧約聖書から派生してキリスト教(新約聖書)、イスラム教(コーラン)が完成
・聖書の中身は実際に起こったことどうかではなく、起こったこととして伝わっていることが重要である
→出来事として信じられて伝わるだけの事象はあったということ
・宗教の基礎の基礎を学びたい人にオススメ
下記は読書の本質を的確に突いているなぁと思った文章です。
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読書は楽しいことであり、大切なことでもあるけれど、人生にはほかにも楽しいことがたくさんあるし、大切なことはさらに多い。古典なんか読まなくたって、りっぱに生きていける。そういう人生も現実にはいくらでもある。
そういう考えに立ったとき、古典は原典をしっかり読むのがよいにきまっているのだが、現実問題としてそうそう読めるものではないし、不十分ながらも知っておけば、他のことを考えるときに役に立つ。軽いダイジェストのようなものが身のまわりにもう少しあってもよいのではあるまいか。私の、このエッセイは、そういう目的で綴ったものである。
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元々は旧約聖書の知識が得られたら良いと思っていましたが、思わぬところから読書の目的を再認識させられた1冊でした。
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