【美術館】横尾忠則現代美術館(神戸)
オススメ度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)
兵庫県神戸市の現代美術館。
横尾忠則の作品に特化した美術館です。
【ポイント】
・展示の大部分が横尾忠則の作品
→ファンには堪らないです
・展覧会の図録が読みがいがある
・コンパクトな美術館
→展示室は2部屋のみ
・あまり混んでいないので作品に集中できる
・企画のテーマが奇抜で面白い
・最寄駅からは少し歩く
横尾忠則ファンなら是非訪れておきたい美術館です。
僕は展示が入れ替わる度に行っています🙋🏻♀️
【2016年の展覧会】
温泉がテーマで1階の広場には卓球台が置いてあり、実際に卓球ができました
【図録は毎回良質】
図録を買うのも楽しみの一つです
【2019年の展覧会】
【古典】貞観政要
オススメ度:★★★★★★★★☆☆(8/10)
非常に簡潔で理解しやすく、2〜3時間で読める内容になっています。
【ポイント】
・古今東西あらゆる組織論の元となっている
→近年流行りの自己啓発本なども元を辿れば、本書のエッセンスを現代風に噛み砕いたものだと感じました
・古来から日本でも帝王学の教科書として親しまれてきた。
→なぜ高校教育で漢文を学ぶのかも恥ずかしながらようやく納得できました
・要点は下記5点
①安きに居りて危うきを思う
②率先垂範、わが身を正す
③部下の諫言に耳を傾ける
④自己コントロールに徹する
⑤態度は謙虚、発言は慎重に
→特に特徴的なのが諫言を重要視しているところ
「指導者の条件」「人材の登用」「後継者の育成」など様々なエッセンスがありますが、1番実用的で身近に感じられたのは諫言の重要性でした。
【本文引用】
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「部下の諫言を受け入れない者が、どうして上司に諫言することができようか」
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これは逆の見方をすると、
上司に諫言するには、部下の諫言を受け入れることが必要であるとも読み取れます。
これまで学校や会社で先輩や上司のグチばかり言っている人を見てきましたが、自身は後輩や部下の諫言を受け入れて身を正してきたでしょうか。
最近は政治の不満の声が散見されますが、グチや不満ばかり言っても先輩や上司ましてや政治などが変わるはずはないのです。
自身より下の役割の立場を大切にして初めて組織や社会は変わっていくものだと改めて学ぶことができました。
学生の頃は漢文を学ぶ意味を全く感じなかったのですが、現在の日本の組織の考え方の元になっているので、現代を生きていくためには必要な知識だったんだなと感じました🙋🏻♀️
【漫画】火の鳥(手塚治虫)
オススメ度:★★★★★★★★★★(10/10)
手塚治虫の漫画作品。(全12巻)
古代から未来まで生きる不老不死の火の鳥が、時に干渉しながら人間を観察し続ける物語。
中身が非常に濃いので他の漫画の倍くらい読むのに時間がかかります。
【ポイント】
・漫画界の頂点に位置する作品(個人的主観)
・手塚治虫のライフワーク
→原点であり集大成
・過去未来が行き来し、その都度人間の存在価値が問われる
→壮大な世界観。後のあらゆる芸術作品に影響を与えている
・漫画というジャンルのひとつのゴールを示した作品
幼少期から繰り返し繰り返し読み続けている作品です。
自分が成長するにつれて新たな感じ方があり、いつまでも読み続けていたいと思います。
手塚治虫の作品はどれも一流ですが、その中でも突出した漫画界最高の1作でしょう。
もし読んだことない方がいらっしゃったら、絶対に買って読むことをオススメします。あらゆる人の人生を豊かにしてくれる1冊です。
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【小説】王国への道-山田長政-(遠藤周作)
オススメ度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
遠藤周作の小説。
タイのアユタヤ王朝で権力を振るった武将、山田長政を描いた作品。
もう1人の主人公として、日本から初めてエルサレムを訪れたローマの司祭、ペドロ岐部も描かれている。
【ポイント】
・地上の王国と天上王国を作ろうとした2人の対照的な日本人を描いた物語。
→下克上精神とキリスト教の対比
・強い意志と行動力を持ちながらも、志半ばで打ちのめされる主人公達。
→人生は虚しい。虚しいからこそどう生きるのかという問いかけかなと思います。
・遠藤周作の小説にしては物語性が強く。軽いタッチでサクサク読める。
・ペドロ岐部は徒歩インドからローマに辿り着いており、スタミナがすごい。
そういえば読んでないなと思って買ったんですが、持っていて読んでいないだけでした🙄(こんな感じで2冊持っている本が多々あります…)
他の作品と同じく一貫して、日本人とキリスト教の関係をテーマを描いています。
やはり僕にとっては遠藤周作という作家を読み解くことが人生のひとつのテーマだと再認識しました。
【エッセイ】新約聖書を知っていますか(阿刀田高)
オススメ度:★★★★★★★☆☆☆(7/10)
阿刀田高のエッセイ。
宗教に馴染みの薄い日本人に向けた新約聖書の基礎の基礎を伝える本。
【ポイント】
→ユダヤ教の旧約聖書を元に作られた聖典。旧約聖書と新約聖書はコーラン(イスラム教の聖典)の元になっている
・新約聖書に描かれた出来事の概要を時系列に沿って紹介
・奇蹟や復活を信じれない日本人に向けた文章。読んでいて違和感を感じるところに説明を入れてくれるので非常に納得感がある。
・著者の旅先でのエピソードもあり、観光や芸術と聖書の結びつきも感じれる。
・キリストは例え話が大好き。細かい解釈は信者達に委ね、ひたすら神の存在と信心を貫いた。
・新約聖書の構造は4つに分かれられる
→①福音書
②歴史的記録(使徒言行録
③手紙(使徒たちの檄文)
④文学(黙示録)
海外の芸術に対峙する時に必要な最低限度の新約聖書の知識が得れます。
絵画「最後の晩餐」やミケランジェロの彫刻「ピエタ」なども新約聖書のこのシーンなのだなとこの歳にしてようやく知ることが出来ました。
【印象に残ったフレーズ】
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神がいかなるものかなど人間にはわかることではないし、こざかしい疑問を抱くより、ただひたすらに信じるほうが肝要である。
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欧米の宗教観には根底にこのような考え方があるのだろうなと思いました。
日本人には馴染みにくいですが、理屈は良く分かります。
教養として読んでおいて損はない一冊です🙋🏻♀️